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Final Stage 第5章:深窓の令嬢3

Auteur: 相沢蒼依
last update Date de publication: 2025-12-05 20:18:26

***

「そっかー。いろいろあったけど、ふたりで頑張ったんだ。結果オーライで良かったじゃん」

 こっちにいる間に頼んでいた物が手に入ったと、義兄さんからグッドタイミングで連絡があり、ホストクラブパラダイスに顔を出していた。

 2階にある事務所で向かい合わせに座り、これまであったことをかい摘んで説明したら、安堵のため息をつきながら美味しそうに煙草を口にする。

「あの色男の件については千秋の対応も悪かったけど、お前も相当大バカって罵っていいくらいに、最低な恋人を演じたものだね」

 義兄さんは呆れた言葉を吐き出しながらローテーブルに頼んでいた物を、静かに置いた。

「いくら、かかっただろうか?」

「ほらよ、これが領収書」

 小箱の横に置いてくれたので金額を確認し、財布からお金を取り出して、お釣りが出ないように手渡す。

「義兄さんが最初に提示してくれた額より、随分と安くなったね。これじゃあ、相手のお店の売上がないんじゃないだろうか?」

 俺としては大助かりなのだが、もしかして義兄さんが無理を言って、原価で仕事をさせた可能性があるなと考えた。

「従業員、御用達の店なんだよ。会員割引やら大量購入割
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    「竜馬ここは手を繋ぐよりも、腕を組んだ方がそれなりに見えるかもしれないぞ」 ちょっとだけ得意げな顔した小林が、掴めと言わんばかりに左腕を躰に当ててきたので、言うとおりにちまっと腕を通してやった。そのとき背後から『ぷっ!』という吹き出す声がチャペルの中に響いた。 ふたり揃って声がした方を向いたら、口元を押さえた安藤と目が合う。「小林ってば偉そうな態度してるけど、駄々っ子みたいに見えるわよ」「うっせぇな。黙って見てろよ」 意気込んでいる小林を横目に、こっそりとため息をついた。 高級ホテルにある立派なチャペルとは相反する自分たちの姿――小林はヨレヨレのスーツ姿で、竜馬は会社で支給されている仕事着に片手には帽子を握りしめている状態。 こんなふたりのために使用後ではあるものの、チャペルを貸し与えてくださった古くからの友人に悪態をつくことができるなんて……。不器用な人だから、ひとつのことにしか集中できないのが分かっているけれど、もう少しだけ配慮を覚えてほしい。 じとーっとした視線を小林に送り続けると、やっとそれに気がついてハッとした表情になった。「……小林さん」 いつもより低い声色に何かを悟ったのか、片側の頬をピクッと引きつらせながら前を向いた。「そ、そろそろ行くぞ」「はい」 耳に聞こえてくるパイプオルガンの音色に合わせるように、ふたり揃って一歩一歩祭壇に向かって進んでいく。バージンロードを踏みしめるたびに、感極まってきて涙腺が緩みそうになった。 その理由のひとつは流れてくる曲に合わせて、頭の中に歌詞が流れるせいだった。 互いに傷ついた過去があるからこそ、やけにそれが胸に染み入るんだ。 祭壇前に辿り着いたら、組んでいた腕を解いてきたのでそれに倣って直立した。 牧師さんがいないこの状況下で、これから小林はどんなことを行うつもりだろうかと内心心配していたら、ポケットに忍ばせていたえんじ色の指輪が入ったケースを取り出して祭壇の上に置く。 その行動で指輪の交換をするんだと判断し、手に持っていた帽子を祭壇の隅っこに置かせてもらった。

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    *** お客様駐車場に車を停め、エンジンを切ってシートベルトを外してから車の外に出ると、早くしろといわんばかりに小林に腕を掴まれた。ふたりでホテルに向かってひたすら疾走する。 竜馬が裏道を使ったお蔭で、約束の時間よりも8分ほど早く到着したというのに、そんなこと知ったこっちゃないという感じで慌てふためく恋人の背中が、なぜだか愛おしく見えた。 ホテルの中に足を踏み入れた途端に走るのをやめて、急ぎ足で二階へと続く階段を駆け上った。帽子を被ったまま豪勢な場所に入ることに躊躇いを感じたので、被っていた帽子を慌てて小脇に挟めた状態で、小林に引っ張られた。 されるがままでいたら、廊下を突き進む小林の足がピタリと止まった。「時間ギリギリって昔と変わらないわねー。疲れた顔したオッサンとイケメンの組み合わせが、すっごく似合わない!」 突き当りにある大きな扉の前にいる女性が、小林に指を差しながら声を立てて大笑いした。「行き遅れた女の笑い声が下品すぎて、疲れが余計に増えたんだ。人の顔見て笑うんじゃねぇよ!」(この人、○○グランドホテルのホームページで見た安藤 薫さんじゃないか!) 竜馬から手を放して両手の腰に当てながら苛立った様子で安藤に近付いていく小林の後ろを、微妙な表情でついて行くしかない。「今さっきここで式を終えたばかりだから、雰囲気が漂っていると思うわ。厳粛なムードもバッチリだと思う」 面白くない顔している小林を見ながら、柔らかくほほ笑んで仲の様子を教えてくれた安藤に、竜馬はぺこりと頭を下げた。「あの、ありがとうございます。ホテルの支配人さん自ら、こんなことをさせてしまって……」「へぇ……。うっかりしている小林の相手らしい、しっかりした人じゃないの。良かったわね」「茶化すんじゃねぇって。竜馬もこんな奴に頭を下げることはないんだ、いい加減にしろよ」 そんな文句を言った小林の頬は赤くなっていて、安藤とふたりでその姿を見て笑ってしまった。「私からふたりへのプレゼント第二弾として、チャペルで流れている曲をプレゼントしてあげるわ。それを聞きながら、永遠を誓ってくださいませ」 安藤が両手で大きな扉を開けると、奥の方にある祭壇が目に留まった。オフホワイトを基調としたあたたかな空間と参列者が座る椅子がバージンロードを挟むようにたくさん置かれていたのだけれど――

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    *** 午後からの配送を終え、やれやれと思いながら会社に戻った竜馬の目の前に、いきなり小林が現れた。「行くぞ!」「は? えっ!?」 わけが分からないまま小林が竜馬の腕を掴み、強引に外へと連れ出す。そのまま従業員が利用している駐車場に向かって、小林が乗っている白のセダンの助手席に押し込められた。呆然とした竜馬を尻目に、何事もなかったかのように小林は運転席に座るとエンジンをかけた。「もう、いきなり何なんですか?」 車内に響くエンジン音をかき消すような竜馬の叱責に、ちょっとだけ肩を竦める。「怒るなよ、時間制限があって慌ててたんだ。それよりもお前、今日はいつもより戻りが遅かったじゃないか?」「会社のすぐそばの交差点で工事があって、片側一車線通行だったんですよ」「俺が戻ったときにはやってなかったのに。タイミングが悪いな……」 チッと舌打ちして、ハンドルを叩く。「小林さん、質問に答えてくださいよ。出会い頭でいきなりの拉致に時間制限なんて、話が全然見えません」 胸の前で両腕を組み、横目で小林を睨んでやった。そんな竜馬の視線を受け、ありありとバツの悪い顔をする。「古くからの知人に頼み込んで、ホテルのチャペルを貸し切りにしてもらった。時間は午後7時半からの20分間だけ……」「チャペルの貸し切り。手元に指輪がないというのに、これまた先走りましたね」「……用意できてるって言ったら、一緒に行ってくれるか?」 言うなりジャケットのポケットからえんじ色の小箱を出して、中が見えるように開く。そこには、ふたつの指輪が仲良く並んで光っていた。「何で用意されて……。だって出来上がりは来週末の予定だったのに」「お前が宝石店で俺に噛みついただろ。一泡吹かせてやろうと、近くにいた店員にちょっとだけ相談したんだ」「いつの間に?」「竜馬が指輪のサイズを測ってる最中、こっそりとな。その人がなんと店長さんで、一部始終を見ていた経緯も関係して俺の話に乗ってくれた」 得意げに話す小林には悪いが憐れみを感じた店長さんの計らいは竜馬にとって、あまり気持ちのいいものではなかった。それはお揃いの指輪の出来上がりを楽しみに、指折り数えて待っていたせいなのだが――「しっかし、幹線道路の片側交互通行は厳しいな。時間が間に合わないじゃないか」 手にした指輪の箱をポケットに戻し、搭載され

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    竜馬がお昼ご飯を食べに戻ると、事務所に小林の姿はなかった。(――くそっ、やっぱり逃げられた!) 被っていた帽子を脱いで、小林の傍で仕事をしていたおばさんに話しかけてみる。「お疲れ様です。今日は朝から何だか忙しなかったですね」「竜馬くんもお疲れ様! 小林さんの知り合いから、大口の仕事が入った関係でちょっとね。だけど店舗の売り上げに繋がることだから、忙しくてもへっちゃらよ」「そうだったんですか。それで小林さんはどこへ?」 店の外に促し、トラックの荷台で訊ねたときは「ちょっと、な……」のひとことのみで、詳しく説明してくれなかった。なぜ大口の仕事を隠したんだろうかと顎に手を当てて考える竜馬に、おばさんが朗らかに口を開いた。「その大口の仕事をくれた知人と一緒に、ランチしてくるって言ってたわ。仕事の打ち合わせも兼ねているから、2時間ほど戻らないそうよ。今まで仕事でランチするなんてしたことがないから、ちょっとだけ不思議に思ったの」「そうですね。珍しいというか……」「もしかして、婚活かもよ?」 告げられた言葉に、自分の笑顔が引きつるのが分かった。「えっと、そう思うのはどうしてでしょうか?」 恋人に黙って婚活するなんて絶対にありえないことなのに、そう考える根拠が知りたかった。するとおばさんは席を立って小林のデスクに移動し、デスクマットに挟まれていた名刺を取り出して竜馬の前に差し出してきた。引き寄せられるように、表面に印刷されている文字を読む。「○○グランドホテル支配人の安藤 薫さん? 随分と大きなホテルの知り合いなんですね」「うふふ。わたしたち同僚と顔を突き合わせてお昼を食べるより、綺麗な女性と一緒のほうが美味しくお昼を食べられるんじゃないかしら」 竜馬に見せた名刺を素早く元に戻すと、自分の使っているパソコンに何かを打ち込み、その画面を竜馬に見えるように向きを変えてくれた。画面は○○グランドホテルのホームページで、そこに映っていたのは支配人として顔写真が出ている、柔らかく微笑んだ安藤 薫さんの姿だった。(小林さんと同じくらいの年齢に見えなくもない。女性で支配人って、すごい人なんじゃないのか!?) 問い詰めようとした恋人が目の前にいないだけでも心が沈んでいるのに、竜馬の知らない事実を突きつけられたせいで、気持ちが暗いところへどんどん沈み込んでいく。

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    (今日は朝から忙しない感じだな、小林さん) 月はじめや月末じゃないのにも関わらず、なぜだか焦って仕事をこなしているように竜馬の目には映った。小林のあたふたしている行動のせいで、傍で仕事をしている事務のバイトのコやおばちゃんまでもが流されるように仕事をしている始末―― そんな姿を横目で捉えながら配達で使うトラックの鍵を手にし、帽子をかぶって小林のデスクに赴いた。必死に仕事をしていた小林だったが恋人の存在に気がつき、微笑みながら顔を上げる。「これから配達か、気をつけて行けよな」「はい。あの、その前にちょっとだけいいですか?」 竜馬は顎で扉を指し示し、一緒に外に出るように促した。 忙しいのになと呟きながらも、先に出ていく背中を追いかけた小林。たくさん駐車されているトラックの荷台の隙間へと誘導した。「今日は何か、前倒ししてやらなきゃならない仕事でもあるんですか?」 小林の仕事ぶりから想像したことを訊ねてみたら、目を見開いて固まる。ちょっとだけ焦りの見える表情は、らしくない感じだ。「ちょっと、な……」 竜馬の視線を外し、斜め上を見ながら口を開いた。「そんなに大変なら、配達が終わってからでも手伝いますよ?」「それまでに、絶対終わらせる!」「無理しちゃって。小林さんがそんなんだから、周りが気を遣っているのが分からないんですか?」「あ、まあ……。申し訳ないと思ってる」 両手を意味なくにぎにぎして落ち着きなく視線を彷徨わせる様子で、頭の中に疑問符が浮かんだ。この感じはまるで、あのときのシチュエーション――浜辺で指輪を貰ったときにしていた、小林の態度そのものだった。「……小林さん、何を隠しているんですか?」「何も隠してなんかねぇよ、怖い顔して睨んでくるなって」 口元を思いっきり引きつらせながら苦笑いを浮かべる姿で、隠し事をしていることが明白になった。「そんなおっかない顔をしてると、お客様に不審がられるぞ。ほらほら出発の時間だ」 自分のしている腕時計を目の前に掲げて、わざわざ時間を教えて追い払おうとする小林の無駄な努力に、竜馬は渋々乗っかることにした。「じゃあ俺がお昼に戻ったら、この話の続きをしますからね!」「ぉ、おう! 気をつけて行けよな」 小林の隠し事を暴く宣言をしっかりしてからトラックに乗り込み、エンジンをかける。それなのにどこか余裕

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    大好きな男の顔がすぐ傍にあるのに、竜馬の心は沈んだままだった。「どんな気持ちで、俺がお前に指輪を渡したと思ってるんだ」「それは――その……」「ひとつはモテるお前に、変なのが近づかないようにするため。もうひとつは――」 困惑の表情で固まっている恋人の唇に、小林は触れるだけのキスをした。「俺から逃げられないようにするためだ。できることなら、首輪と足輪も取り付けたいくらいなんだぞ」「そんなに付けられたら、動くことができないじゃないですか」 冗談にしてはタチの悪い言葉に、思わず吹き出してしまった。いつもこうして、絶妙なタイミングで自分の中にあるマイナスな感情を癒してくれる彼に、頭が全然上がらない。「ついでに仕事を内勤にして、極力外部との接触を遮断したい俺の気持ちが分かっていないだろ」「そうですね。実際に誘われたことがありますし」「ゲッ! 本当なのかそれは?」「ええ。ぜひとも孫の花婿になってくれって、年配のお客さんに言われました」 竜馬が言うなり太い眉を逆への字にして、心底面白くなさそうな顔をした小林。「お前は年上キラーなのか!? そんな誘われ方があるのか」「恋人がいるので無理ですって、ちゃんとお断りしましたよ」「他にもあるだろ。お前のことだから心配させないように、たくさん隠し事をしているに違いない」「さぁ……」 あったところで全部断っているので、ないに等しいと思っていた。「隠し事してるだろ? 分かってるんだからな俺は。愛してるんだぜ、おい」 自分を射竦めるように見つめる視線から、小林の気持ちが表れていた。目を逸らさずに隠し事を全部言えと語っているそれに応えたいと思えど、やはり躊躇してしまうのは過去の出来事が踏み止まらせていた。 好きだった人に想いをぶつけた結果、目の前で壊れてしまった姿が今でも脳裏にこびりついている。同じように小林のことも壊してしまうかもしれないと考えると、二の足を踏んでしまった。「竜馬そうしてずっと、気持ちを押し殺したままでいる気なのか?」「あ……」「最初に言ったはずだぞ。地獄の業火に焼かれてもいいって。しかも意外と俺は頑丈にできてるんだ。体も心も鋼なんだぞ」「小林さんが頑丈なのは分かってるつもりです。でも……」 不安げに揺れ動く竜馬の視線に絡める瞳を細めながら、くちゃっと柔らかく微笑み、両腕を体に巻き

  • 残り火 After Stage ―未来への灯火―   残り火2nd stage 第3章:助けたい

    *** いつもなら、こっちが呆れ返るくらいにしつこく迫ってくる穂高さんが、『……ご飯を食べようか』 なぁんてマジメな顔して言ったので、お言葉に甘えたんだけど――朝食後も手を出さずに、洗濯や掃除など家事に勤しんでくれた。 その間、俺は大学のレポートをまとめながら、その働きぶりをじっくりと観察させてもらいつつ、いつ手を出されてもいいように身構えて……両拳を時折ぎゅっと握りしめて身構えていたのに、いっこうにやって来る気配がない。(――おかしい、何を考えてるんだ?) 俺が穂高さんを子ども扱いしたのをいいことに、見事それに乗っかり、可愛い穂高くんを演じられてしまった。 やられたっ! って

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  • 残り火 After Stage ―未来への灯火―   残り火2nd stage 第3章:青いワンピースと葵さん12

    ***「あはは……」 爽やかな朝がはじまったって、葵さんの家の前ではそう思ったんだけどな――。 その後すぐに自宅に帰って居間に入った途端に、目の前にいた穂高さんが唐突に両膝をついて床に跪いたと思ったら、俺に向かって両手を広げる。「えっと、何でしょうか?」「ん……」 大きな子ども(イケメン)が、目をキラキラさせながら俺を待つ姿に、顔を引きつらせるしかない。「……そんなことよりも、先にご飯食べましょうよ」 呆れ果てながら台所に行こうとしたら、跪いたまま素早く行く手を塞いできた。(――ちょっ、何やってんだよ……)「穂高さん……」「謝りたいんだ、千秋」「もう済んだことなんで、

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